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2005.01.15

浅田次郎「蒼穹の昴」読了

文庫で全4冊。大切に丁寧に読み進めて、先日読了。幸せな日々でした。以下ネタバレありです。ご注意を。

清朝末期、西太后の時代のお話です。
主人公が2人の青年、というか最初はまだ少年だし、壮大な舞台装置に、これって映画にしたらすごいスケールになるな~、何かハリー・ポッターみたい…と思いながら読み始めたら、なんと龍玉(ロンユイ)の話まで出てきた。
龍玉というのは天下をしろしめす者のみ印、だそうなんですが、ドラゴンボールというのはここから来てたんですか!と、そっち方面まで連想しつつ^^;

確かに、スケールの大きさで最後まで引っ張っていかれました。
最初は中国の地名や人名が原語読みの振り仮名なのに付いていけるか心配でしたが、大体改頁ごとに丁寧にルビが振ってあったので、今ではすっかり原語読みの方が馴染んでしまいました^^ 例えば、
西太后は「せいたいごう」ではなく「シータイホウ」
袁世凱は「えんせいがい」ではなく「ユアンシーカイ」
李鴻章は「りこうしょう」ではなく「リイホンチャン」
とかね。

しかし、私にとってこの物語の一番の魅力は、スケールでも歴史小説の面白さでもありませんでした。
星占いの老婆による、天からのお告げで始まるこの物語。
そのお告げ通りに少年から青年への日々を歩む主人公たち。
でも、この本のテーマは「運命は自分の力で切り開くもの」ということだったんですね。
糞拾いの貧しい少年だった李春雲(リイチュンユン、幼名春児〔チュンル〕)が、老婆のお告げを信じて自ら浄身して宦官(ホアンクワン)となり、そのお告げ通りに西太后のお側近くに仕えるようになり…
もう一人の主人公、春児の幼なじみでもある状元の才子(科挙で一番の成績を取った進士)梁文秀(リアンウエンシウ)はある時、春児へのお告げだけは嘘だったと老婆から聞かされ、愕然とします。
しかし後年、変法運動に敗れた文秀を助けた春雲は、お告げが嘘であることは最初から分かっていたと、文秀に言うのです。
このくだりを読んでいたのはちょうど、帰宅途中のバスの中で…もう涙涙になりそうで、たいへんでした。

浅田次郎の本の、こういうところが私は好きです。
まさに、「勇気凛凛ルリの色」(感想はこちら)の中の一節、
「少くとも読者を勇気づけることは、いやしくも言葉で飯を食う者の使命であろう」
これを実践されているのだなぁと…

情けないことに中国史も何もかも忘却の彼方なので、急いでネットで俄か勉強してみました(ほんっとうに便利。もう百科事典の出番はないですね)
梁文秀のモデルは想像つきましたが、李春雲は創作でしょうかね?願わくば、もちょっとエピソード的な「その後」も知りたかったですけど、ま、時代は変わって行ったから…
中国3部作?の続き「珍妃の井戸」「中原の虹」も、読むのが楽しみです。

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コメント

金木犀さん、こんにちは。
『蒼穹の昴』、我が家では夫が読んでいるところです。1巻のみ買って、やはり名前の読み方にとまどっていたようですが、先日2~4巻目まで買ってくるように頼まれましたので、慣れたのでしょう。(^^)
読み終わったら私にまわってくる予定。早く読みたくなってしまったけれど、追いついたらよけいいらいらするので、読了を待ちます。(^^;

投稿: ponta | 2005.01.16 07:48

>ぽんたさま^^
わー、ご主人読んでいらっしゃるのですね~
ぜひぽんたさんもお読み下さいませねぇ^^
私は、最初っから4冊一遍に買ってきちゃったクチです。
ウチの夫はまだ手をつけられないでいますけど。
私は今では、人名のみならず地名とか官位とか、すべて原語読みでしか思い出せません。人間慣れるもんです^^;
今は藤沢周平を読んでるのですが、どうもあの静かな文体が私には今いち…ーー
浅田次郎のアクの強さから抜けきれない^^;

投稿: 金木犀 | 2005.01.16 22:35

夫に催促したら、「とっくに読み終わってるよ。」とすねてしまいました。(^^)  
今日から読みます。

投稿: ponta | 2005.01.17 07:19

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