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2004.05.18

浅田次郎「勇気凛凛ルリの色」

文庫で出ている浅田次郎の本も、読んでないのは残り少なくなってきたので、とうとう「勇気凛凛」シリーズに足を踏み入れることになりました。
エッセイというジャンルは、よほど面白くないと、通勤途上で読むのには向きません。しかしこれは面白かった!さすがに読ませます。
浅田さんの作品で私が惹かれるのは、「鉄道員」をはじめとする、いわゆる泣かせ物シリーズではありません。そうではない作品の中に、たった一行、ぐっと胸にくる文章がある。その瞬間がこたえられない魅力です。およそ「涙」とは縁がなさげな「きんぴか」シリーズにもそういうフレーズはありました。その文章に行き当たったとたん、電車の中にもかかわらず涙がどぁっとこみ上げてきて往生するのです。
今回読んだ「勇気凛凛ルリの色」にもありました。「生命力について」の章、自殺について書かれているのですが、その中で、自殺の方法の解説書が発売されたことを受けて、「少くとも読者を勇気づけることは、いやしくも言葉で飯を食う者の使命であろう」という一節が。こうして抜き書きしてみると何ということもないフレーズなのですが、文章の流れの中で出会うと、しばし固まってしまったのでした。こういうスタンスで、浅田作品は書かれているのですね。

ところで、浅田さんは小説はずっと書き続けていらしたようですが、初めて賞をとられたのは1995年、「地下鉄(メトロ)に乗って」の吉川英治文学新人賞なのですね。1951年生まれでいらっしゃるので、43、4歳の時でしょうか。いまや、押しも押されぬベストセラー作家でいらっしゃる浅田さんも、作家としては遅咲きでいらしたのですね。はっ何と、今の私と同い年ではないか…と思い当たって、色々考えてしまいました。
人生、何をするにも遅すぎるということはないでしょうが、40代も半ばになって思うことは、人生の方向性というものは、そろそろ定まっているべきだろうなということです。それなりの年月を生きてきて、我が身を振り返って、何かこれというものは得られているのだろうか。専業主婦ならそれなりに、仕事を持つならそれなりに。…どっちも中途半端に生きてきてしまっている気がするのですが(--)
せめて、いま得ている仕事の方向性を、つなげて行きたいなと思います。それでなければ、主婦としても母親としても、私には何にも誇れるものがない…。その上で、また色々な新しいものに出会うのは、これはもういくつになってもということで。

「勇気凛凛」シリーズはあと3冊あるし、こないだ「歩兵の本領」も購入したので、当分読むものに不自由しません。最近、浅田次郎ファンサイトも発見しまして、楽しんでます(^^)
「蒼穹の昴」が早く文庫にならないかな~

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