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2004.04.27

無言館

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今回の信州への旅にあたって、上田に行くならぜひ寄りなさい、と父に勧められたのが「無言館」です。戦没画学生―つまり、美術を志して東京美術学校(現東京芸大)他で勉強中だった画学生、また卒業して画家としての道を歩み始めていた若者たちが、太平洋戦争に出征し、絵や彫刻への志半ばにして戦死していった… その人たちの遺作や遺品に、家族の言葉などが添えられて展示されています。
塩田平のなだらかな丘の上の建物は、信州のやさしい風景の中で癒されているようなたたずまいですが、一歩中に足を踏み入れると、空調のせいだけではないようなひんやりとした空間でした。遺品は保存状態の悪いものも多く、照明も暗めです。
元々絵のことはよく分からない上に、感動のうすいたちなので(--)、最初のうちは淡々と見ていきました。遺品には美術学校の合格通知やら、戦地から画学生本人が送ってきた軍事郵便もあり…さすがに画家の皆さんなので、絵入りのものも多くありました。
順路の終わり近くに、画学生の持っていた手帳が展示してあったのですが、それを見てとうとう涙腺切れました。「食べたいもの」がびっしりと書き込まれているのですが、カレー、コロッケ、あべ川、ボタモチetc.…どんな気持ちで書いたのかと思うと…
志半ばで斃れた本人の無念さ。そして家族の思い。数少ない遺品を大切に守り続けて戦後を生きて。戦死公報もなく行方不明だった学生の母は、年老いて死ぬまで息子の帰りを待ち続けていたそうです。
もちろん、画学生に限らず、また学生や若者に限らず、戦争で斃れた人々、そしてその家族の思いは同じだと思います。なぜ、このような形で生を奪われねばならなかったのか。そして、あの時だけではなく、今もその情況は続いています。世界のあちこちで。なぜいつまでも、そんな悲しい思いが繰り返されるのか…
声もなく語りかける絵や彫刻や遺品の数々の重みをずっしりと感じて外に出ると、明るい春の日のひかりと青い空、やさしい緑と花々が迎えてくれました。

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コメント

「無言館」とは、名前からして無言どころか何か訴えかけてくるものがありますね。相変わらずの世界。一応(^^;誠実に生きているつもりですが、他に何をしたらいいのだろう。

投稿: ponta | 2004.04.28 06:47

何をしたらいいか…私も何もしてないわ(ため息)
せめて、そういうことに思いを向けることを忘れないようにと思いますが、それで何がどうなる訳じゃないけど…
何かしなければ、という思いを実行に移していた今回のイラク人質事件の被害者の方々。それがこんな物議の元になる社会もどこか変だと思う…

投稿: 金木犀 | 2004.04.28 21:52

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